思うところ199.「曖昧」

思うところ199.「曖昧」

<2025.7.16>
遠い昔の些細なやり取りにも拘らずなぜか記憶に残るお客様の呟き。海外を舞台に活躍する弁護士が自身の投資を目的に日本国内の不動産を購入するにあたり、私と売買契約の最終打合せをしていた時のことである。その人はA3サイズ両面唯1枚で構成された売買契約書の雛形(ごく一般的な書式)に目を通した後、「これじゃ(この書式では)、海外の取引では通用しないなぁ。」と溜息交じりに本音を漏らしたのである。コラム№37(抜き行為)の末尾で紹介した「定め無き事項は信義誠実のもと協議解決する。」という主旨の曖昧な表現を嘆いての指摘だった。個人的には我が国ならではの誇らしい結びだと思っているが、白か黒、Yes or Noを明確にする海外の取引では通用しない条項であることは耳が痛いが紛れもない事実であると思った。