思うところ30.「微妙」 | 東京駅・茅場町・八丁堀の賃貸事務所・賃貸オフィスのことならオフィスランディック株式会社

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  • 思うところ30.「微妙」




    今週のコラムで取り上げる「思うところ」は、不動産業界における「微妙」なもの(数字)について。紙面が限られて一部しか紹介できないが、間違い易い「微妙」なものほど留意すべきで、知っておくと業績が伸びる訳ではなくとも思わぬトラブルを回避できることもある。交通量の多い複雑な交差点では、黄色信号点灯時の「微妙」なタイミングこそが一番危ない。

    <微妙な壁芯面積:52㎡~53㎡>
    不動産取得税や登録免許税の軽減措置の対象面積(50㎡)は、あくまでも登記簿面積(内法面積)だ。マンション販売において一般的に使われる壁芯面積(未完成物件はそもそも登記簿面積不明)で52㎡~53㎡辺りは営業マン泣かせの「微妙」な面積だ。竣工時の登記簿に記載される面積は、49.99㎡ということもあり得る。不動産取得税は不要で、かつローン控除により節税効果が期待できると(説明不足により)誤認していた購入者であれば、その損害額もその怒りも想像以上に大きい。※不動産取得税については、固定資産評価証明書に記載の「現況床面積」適用可

    <築年の微妙:昭和56~57築>
    他社のベテランの営業マンが胸を張って言った。「本物件は新耐震基準で安心です。昭和57年築ですから。」
    共同仲介の立場上、これには口を挟まざるを得なくなる。残念ながらその物件は旧耐震基準の建物だったからだ。新耐震基準となるのは、昭和56年6月1日施行の改正建築基準法によるものであるから、竣工が昭和57年以降であっても、施行日前に建築確認を取得したものは、竣工時期がどうであれ旧耐震基準に基づく建物である。
    勿論、改正前であっても新耐震基準を上回る優れた設計がなされた建物もあるが、その「微妙」な時期の建物は良く確認してから説明して欲しい。

    <微妙な遮音等級:LL40等級>
    フローリング施工時に床材の制限を定めたマンション管理組合が多い。対象となる音の種類はLH(重量床衝撃音)とLL(軽量床衝撃音)があるのだが、LL45(数字が小さい程遮音性が高い)以上との規定が主流になっているように思う。騒音トラブル防止に神経質になるあまり、LL40の床材に限定する管理組合があるが、これが「微妙」である。せっかくのフローリングがまるでクッションフロアのように沈み込む。要するに柔らか過ぎるのだ。生活スタイルの違う老夫婦と子沢山の大家族が同じ制限を受けるのは少し不憫だ。LL50等級の床材の下に遮音材(例えば「すーぱー静香」)を敷けば、LL40等級以上の効果となる自信はあるが、管理組合に理解して貰えるとは限らない。

    <微妙な起算日:4月1日>
    不動産取引の慣行において、固定資産税・都市計画税の起算日は、関東圏は1月1日、関西圏は4月1日が一般的である。だから、東京の不動産を大阪の人が購入するとややこしい。良く説明しておかないと清算金の受取額で認識に違い出る。「契約自由の原則」の聞こえは良いが、この様な「微妙」な慣行は早く統一すべきである。

    <微妙な言い訳:5分(ぶ)と5分(ぶ)>
    商談が纏まる確度を尋ねると、「5分5分(50%-50%)です。」との「微妙」な答えが多過ぎる業界だと思う。それを切り札として稀に使うなら許される回答だと思うが、毎回「5分と5分(=分らない)」と答えるならば、「無能」ということになる。だから、自身の予測を端的に述べるべきである。重要なのは、その「整合性」だ。いつも「難しい」と言っておきながら纏まり、いつも「決まる」と言っておきながら破談となる者は、どちらも信用を失うことになるだろう。

    最後の一行となった。今回のコラム、紙面が足らず完成度は「微妙」である。


    ※税制に関することは、2018年コラム執筆当時のものです。


このコラム欄の筆者

齋藤 裕 (昭和39年9月生まれ 静岡県出身)

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