思うところ48.「格言」 | 東京駅・茅場町・八丁堀の賃貸事務所・賃貸オフィスのことならオフィスランディック株式会社

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  • 思うところ48.「格言」




    当社は老朽化したワンルームマンション(以下「1R」)を取得してリノベーション事業の対象とすることが多い。個人投資家向けに商品企画する時、自ずと流動性の高い少額価格帯の仕入れを優先するからである。しかしながら、狭小の1Rの工事は、売上規模に反して時間が余分に、費用が割高に掛かる。よって、表装リフォームのみで短期転売する不動産会社が主流であり、当社のように1Rにスケルトンリフォーム(室内の内装を一旦解体撤去、配線・配管に至るまで新規交換)まで施す事業者は少数派である。

    スケルトンリフォームは、工事工程が煩雑で騒音が伴うから思うように工事が捗らないことも多い。(当然その間の家賃収入は無い。)施工期間が2ヶ月以上になることもザラである。階下に夜勤(昼間就寝)の方が住まう物件を施工するときなどは、「眠れない!」と怒鳴る人の気持ちも理解できるだけに心を痛める日々となる。
    また、表装リフォームならば費用が30万円程度で済む物件でも、風呂・トイレ別の充実した設備・仕様のスケルトンリフォーム工事を行うならば、その10倍(300万円)に迫る施工費用をも覚悟して臨まざるを得ない。

    だが、格言「損して得取れ」とは、良く言ったものである。その苦労は、当エリアの1Rなら月額賃料を1万円程度、稼働率を100%(募集を開始してすぐに入居者が決まる。)に近づけるうえ、売却に要する期間と広告費を半減させる。結果としては充分に労が報われるのである。何よりも買主・借主(入居者)双方から喜ばれるのが嬉しい。

    賢明な投資家(買主)は、リフォーム未了の物件との価格差を容易に理解してくれるので販売は難しくない。
    だが、当社は積極的に販売活動を行っているわけではなく、家賃相場の60%程度が借入返済額となるよう中長期の資金調達を心掛けており、むしろ長期保有の方が賃貸事業の充実を図ることができるとさえ考えている。
    こと投資用マンションについては、自社保有(固定資産化)を念頭において再生再販事業を遂行しながら、売買成立後も賃貸管理を当社に委託してくれる継続取引が可能なパートナーと信頼関係を築くことこそが最重要課題だと考えている。よって、「売れさえすれば良い。」などとは考えない。

    1Rのリノベーション事業において、格言「二兎を追う者一兎をも得ず」も我が意を得たり、である。当エリア(中央区周辺)において昭和の時代に分譲された1Rは3点式ユニットバス(トイレ・浴槽・洗面一体型)が多い。分譲時のセールスポイントは「セカンドハウスにも、事務所にも、」であった。これが大きな間違いであり、入居する人の多くが「どっちつかずの商品企画」にストレスを感じている。やはり、居住用は「住み易い」、事務所なら「仕事し易い」動線や設備・仕様を心掛けるべきであると思う。

    1Rであっても居住用ならば、風呂とトイレ(洗浄便座付尚可)は分けたい。可能なら、部屋とキッチンも分けて「1K」としたい。室内に洗濯機置場も必要だろう。(コインランドリーに使う小銭の総額は馬鹿にならない。)独立洗面化粧台も設置できるなら尚良い。床材はフローリングが好まれる傾向にある。

    事務所なら、浴槽を撤去して執務スペースを拡張すべきである。ミニキッチンのコンロは不要だ。シンプルに湯沸かしポットの置場とした方が良く、電気温水器や洗濯防水パン等の事務所に不要な設備も撤去して有効面積を拡張した方が良い。執務スペースには扉を設けて共用部への音漏れが無いよう配慮すべきだろう。(商談が漏れる。)

    どんな用途にせよ、セキュリティ面からTVモニター付インターフォンの有無を気にする人が多い。また、入居者の初期費用を軽減すべくエアコンを設置しておくと喜ばれる。

    成功する「損して得を取る者」、失敗する「二兎を追う者」、不動産業に役立つ「格言」はまだまだある。
    格言を「金言」として活かして参りたいものである。

     


このコラム欄の筆者

齋藤 裕 (昭和39年9月生まれ 静岡県出身)

オフィスランディックは中央区を中心とした住居・事務所・店舗の賃貸仲介をはじめ、管理、売買、リノベーションなど幅広く不動産サービスを提供しております。

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