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  • 思うところ4.「ポータルサイト」




    <2017.11.16記>
    今や不動産広告の集客媒体の主役は、インターネット広告である。魅力ある不動産を主要ポータルサイトに掲載さえすれば、沢山の反響(=問い合わせ)が期待できる。購読者が激減した新聞の折込チラシなど、「費用対効果」という面では、広告媒体として脇役になってしまったのかもしれない。

    その様なポータルサイトの恩恵を受けている業界人としては静観すべきことかもしれないが、お客様にもある程度実情を知ってもらいたく、また同業界の経営者にも問題提起したく、ある主要ポータルサイト(運営会社はA社とする)の暴露話とする。

    私が問題視しているのは、A社独自の「課金システム」である。その課金システムの問題点は、舞台裏で起きていることなのでお客様は知る由もない。知る由もない事情とは、お客様がお問い合わせの度に「賃料の○%」「売買価格の○%」がその都度不動産会社の負担として自動的に課金されていることである。

    有難くも人気物件ほど沢山の問い合わせ(=反響)があるが、1物件に多数の問い合わせがあっても類似の人気物件を代替案件として情報提供できない限り、その顧客情報を活かすことは難しい。

    つまり、運営会社は確実に儲かり、お客様に実害は無いが、不動産会社は費用(課金)と利益(仲介手数料)のアンバランスにより、時として損をするのだ。これならば他のポータルサイト運営会社のように掲載物件数をもって広告費とした方が納得できる。

    一番困るのは、顧客と成り得ない方からの問い合わせ(ビルへの道案内希望だったりする)である。きっと悪気はないのだろうが、その度にA社に異議を申し立てて承認を得なければ一方的に課金されるのである。(ふと思うが、悪意のある集団に膨大な問い合わせを仕掛けられたらどうなるのだろう。)お金が戻れば良いというものでもない。些細な事務作業ではあるがその除外申請の手続きは労働力の無駄遣いであり、損失に他ならないのである。

    これらの問題が表面化しないのは、少なくとも期待できる利益が勝っているからだろう。仮に損失過大であっても広告掲載するのは、実情を知らない依頼主(売主・貸主)に掲載しないことを非難されたくない気持ちもある。(賢明な依頼主は、インターネット戦略を事前に確認する。)

    問題視するのは、「課金システム」であるが、問題の本質は、自社の利益のみを優先するその企業姿勢である。良い物件が評価されて、お客様に喜ばれるのは勿論のことだが、少なくとも高額物件に沢山問い合わせがあったのならば、その成果を(ポータルサイト運営会社と)素直に喜びあう関係が自然ではなかろうか。

    ある日のお客様の電話問い合わせには驚かされた。「何とか御社の直通番号を調べて初めて電話しました。普通に問い合わせするとご迷惑になるので。」聞けば、興味本位で沢山問い合わせをしたら、ある不動産会社にこっぴどく怒られたとのこと。舞台裏を知る由の無いはずのお客様も、怒られて課金制のことを理解したらしい。お客様に罪は無い。何たるシステムか!興味本位でも気軽に問い合わせできるのもインターネット広告の長所ではないのか?

    この様な守銭奴的なシステムを構築する者は、頭脳明晰であっても賢者ではない。

     


このコラム欄の筆者

齋藤 裕 (昭和39年9月生まれ 静岡県出身)

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