思うところ25.「対極」 | 東京駅・茅場町・八丁堀の賃貸事務所・賃貸オフィスのことならオフィスランディック株式会社

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  • 思うところ25.「対極」




    同じ不動産業界で私と対極の経営方針をとる友人がいる。独立して20年経過して尚、現に会社が存在し、財を成しているのだから「成功者」と言って良いだろう。また、対極にあるからと言って私はこれを何ら否定するものではなく、本コラム№8.「登山」で述べた通り、投資家の選択肢がそれぞれ異なるのと同じだと思う。経営者もそれぞれが信ずる道を行けば良いのであり、我が道を行く頑固さは頼もしくもある。

    リノベーション事業の在り方については、特に対極にあるがゆえ、対比してみると当社の特色が説明し易い。

    <「狭域」と「広域」>
    当社は、少数精鋭でより良いサービス提供を目指すが為に、営業エリアは「狭域」である。売買・賃貸・管理・リフォームと幅広く顧客のニーズに応えるには、闇雲に営業エリアを拡大する訳にはいかない。
    反して彼は、定めのない「広域」が営業エリアであって、安い物件情報を入手したならば、北海道から沖縄まで何処へでも飛んでいくだろう。安価に仕入れることこそが最優先だから、エリアになど拘ってはいられないということだと思う。

    <「直接販売」と「間接販売」>
    当社は、地域に密着しているので他社に先駆けて売却情報を得易く所有者から直接仕入れることが多い。
    また、商品企画も自社で行い、専属の大工の手によりリノベーションを実施後、売主として自らが再販活動を行う。徹底的にコストを削減することは、顧客の利益にもなるのだが、労が多い「直接販売」に拘るのは、最短の距離をもって「市場の声」を聴く為でもある。
    反して彼は、「広域」に仕入を行うので、その情報源は仲介会社に頼るところが大きい。よって売却する時も情報を持ち込んできた仲介会社に報酬の一環として再販を任せるか、物件に適任の仲介会社を通すことになる。
    リフォームの発注も厳しい相見積もりの末、最安値で請け負う工務店を選択する。その後、売却希望価格(チャレンジ価格)を設定し、仲介会社を通じて販売結果を市場に委ねる。

    <「スケルトンリフォーム」と「表装リフォーム」>
    当社は、水廻りをも一新する「スケルトンリフォーム」を商品企画の原則としている。表面的なお化粧でうまく誤魔化して売り抜けたとて真の評価は得られないと考えているからだ。反して彼は、無駄な経費は掛けない。リフォーム費用は正当に評価されない(価格で勝負)と考えているようだ。

    <「分析」と「直感」>
    私は、毎日のように指定流通機構(レインズ)に登録された地元の新規売却物件と直近の成約事例をチェックして市場動向を「分析」する。反して彼は、入手した不動産情報を買うべきものか否か「直感」で判断していく。
    それは「直感」というより「嗅覚」というべきかもしれない。「嗅覚」を軽んじてはいけない。実のところ私は「嗅覚」にも自信がある。

    比べればキリが無いのだが、彼がこのコラムの記載内容が自分のことだと気付いたら、勝手に当社の引き合いに出されたうえ、経営方針を批判されたものと勘違いして臍を曲げるかもしれない。その時は、面倒臭いから昼飯でも奢って機嫌を取ろう。彼は旅先で「ナマズ」が食材の「格安うな重」を本物と勘違いして「安くてうまい!」とご満悦だったと聞いている。(同行者から聞いて皆笑い転げた。)富を得た男にしては、安上がりにしてユニークである。世の中ユニークな人が多いほど面白い。


このコラム欄の筆者

齋藤 裕 (昭和39年9月生まれ 静岡県出身)

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