<2018.6.19記>
仕事が「できる人・できない人」は、その片鱗を日常生活で垣間見せている。ランチタイムで混み合うカレー屋さんの発券機前で何度も選択ボタンを躊躇して長考するおじさん(私も「おじさん」だが)に遭遇してそう思った。私の背中で若者達がイライラしているのが振り返らずとも手に取るように分る。ようやく選択ボタンを押すも、今度は小銭入れからできる限りの10円玉を輩出しようと悪戦苦闘している。彼は自分の背後にできた長蛇の列を見て何も思わないのだろうか。本日の「思うところ」は、いつにも増して「辛口」となりそうだ。
<混雑時に発券機前で長考する人>
冒頭の「カレーおじさん」は、「決断力が無い」うえに「空気が読めない」という問題を抱えている。一番深刻なのは、「段取りが悪い」こと。本来は、順番待ちをしている間に食べたいものを選択し、前もって小銭を用意しておくべきだろう。この様な人の行動を不動産仲介業務に置き換えると、1日で多数の物件を効率良く案内することができないはずである。同エリアの物件であってさえ、居住中の部屋を約束した時間通りに多数案内するのは意外と難しい。仲介人は、段取り良く予定を組んで、顧客の心理を読みながら、時に移動のタイミングを決断しなければならない。
<度々違法駐車をする人>
度々の違法駐車で違反キップを切られる人。駐車料金を惜しんで違反駐車を繰り返すから、反則金とレッカー代の総額は、有料駐車場を利用した場合の何倍にもなる。この様な人にリフォーム工事現場を任せると共用廊下やエレベーターの養生(費用・手間)を惜しんで資材を運び込み、共用部の破損事故を起こして管理員に散々叱られた挙句、損害賠償の憂き目に遭う。「費用対効果」の考え方がズレている。
<降雨確率50%と分っていながら傘を持たずに外出する人>
怪しい曇り空。降雨確率は50%に達しているのが分っていながらも傘を持たずに外出(営業)する人。確かに五分五分の確率であり、結果的には無駄になることもあるが、300gにも満たない折たたみの傘を携帯することに何の損があろう。無駄なクリーニング代や度重なる出先の傘購入には無頓着であるようだ。この様な人は不動産投資に向かない。常に「自分だけは大丈夫」だと思い込んでいる。リスク回避能力と予見能力が希薄で投資の世界では深みに嵌る。
最後に「できる人」について。
薄暮の砂浜、一瞬光ったガラス片に彼は気付く。さりげなく拾い上げて帰り際、「誰かが踏んだら危ないからさ。」海の家のスタッフにその危険物の処分を頼む。彼は、薄暮の中にあってもその一瞬を見逃さない注意力を発揮し、砂浜で遊ぶ子供がそのガラス片を踏んだ時の惨事を予見した。「善」の心をもって的確な状況判断により未然に事故を防いだものの、そのファインプレーは誰にも気付かれない。(コラム2.「ファインプレー」参照)
この様な人はリノベーション事業において良い仕事をする。スケルトンリフォームは、手間も費用も掛かるが、いざ完成すると、見た目だけでは表装リフォームとの区別が難しくなる。内部の配管・配線まで目視調査することができないからだ。難度の高い工事工程であっても、人が見ていなくても、評価されにくくとも、最善の改良に努める姿勢は、「ファインプレー」に等しい。
ここまで書いてはっと気づいた。「できる人・できない人」を安易に上から目線で語るのは良くない。「何様のつもりだ」と自問自答する。少し「辛口」が過ぎて「後味」が悪い。
このコラム欄の筆者
齋藤 裕 (昭和39年9月生まれ 静岡県出身)
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