<2019.1.15記>
いよいよ約3ヶ月の工期を経て当社のリノベーション(中古マンション再生・再販)物件である「三田ハウス(最上階)」が発売される。「三田ハウス」とは、昭和47年に港区三田五丁目において財閥系大手不動産会社の住友不動産が分譲(施工:大林組)した総戸数345戸(1階の店舗11区画を含む)の大規模マンションであり、ヴィンテージマンションの代表格と目される。競合する同業者は多数あったが所有者と「特別な縁」あって当社が仕入れることとなった。
この度当社が手掛ける住戸は最上階の東南向き(都心を一望)の約71㎡タイプ。多面採光設計にて景観にも配慮された白を基調とする外壁の曲線が美しい。最寄り駅は、南北線・三田線「白金高輪」駅徒歩7分だが、大江戸線「麻布十番」駅も徒歩10分で利用できる交通利便性に優れた好立地である。ホテルライクなサービスを提供するフロントには、日中はコンシェルジュ、夜間はオートロック施錠のうえ警備員が常駐する24時間有人管理体制だ。1階フロアには、人気の老舗フレンチレストラン「コート・ドール」の他、2つのクリニック(内科&皮膚科)や美容院も入店しており充実したコミュニティを形成している。
よって、商品企画(間取り・設備・仕様)と販売価格の設定を間違えなければ弱点は無い。その上、売主たる当社が直売りするということは、仲介手数料が不要ということであり、取得に要する経費が大幅に軽減されるから購入者は求め易い。実に創作意欲が掻き立てられる間取り(原設計)であった。原設計者を愚弄するつもりは毛頭ないが、それだけブラッシュアップ(「磨き」をかける)の余地があったということだ。
玄関収納は、使い易く適度な奥行に留めて玄関に広がりを持たせた。(収納は奥行があり過ぎると使いづらい)玄関に入って正面の親子扉は大型家具の搬入時に実用的であるだけでなく、一般的な扉と比べて別格の高級感を醸し出す。今流行りのアイランドキッチンを不採用としたのは、来客時にキッチン内が丸見えとならぬよう袖壁が必要と考えた結果の対面式カウンターキッチンである。難しくとも脱衣所とトイレの入口を分けることに拘った。生活動線に配慮して引戸を多用したが、その使い勝手の良さは実際に入居してから再評価されるだろう。尚、洋室(小×2室)のクローゼットを廃したのは家具レイアウトの自由度を高める為である。クローゼットが必要であれば、洋箪笥(タンス)を一棹(さお)置けば解決することだが、限られた空間に無理な設計をすれば邪魔になるだけである。その他、リビング・ダイニングに床暖房システムを採用し、マルチエアコンにより全室エアコン設置済として競合物件を想定しながら差別化も図った。
補足説明すると、アイランドキッチンは、吊戸が無いことで開放感を創出できる反面、食器類の収納力不足となり易く、背面に十分な食器棚・ワゴン等のスペースを確保できない場合は採用すべきではない。また、未入居時の見映えは良くとも、実生活となるとキッチン内を見せたくない主婦層に敬遠される傾向にある。
当タイプにおいて陥り易い設計ミス(特に男性が設計者の場合)は、「脱衣所内にトイレを設けること」である。想像して貰いたい。お腹が痛いからといって年頃のお嬢様が着替え中(裸)の時、果たしてお父様はトイレに駆け込むことができるだろうか。商品企画には「女性の意見に素直に耳を傾けるべき」とつくづく思う。
本コラムを「広告宣伝ではないか」と揶揄する人がいるかもしれないがそうではない。当社がリノベーション事業を展開するにあたり、どの様な考え方で行っているのか、ほんの少し披露したかった(理解して貰いたかった)だけのことである。
有難くも既に予想以上の問い合わせと見学予約を頂いている。必ずや当社の商品企画にかける真摯な姿勢を評価してくれる人がいることを確信している。
※記事内容は2019年1月の本コラム執筆時点であり、当該「三田ハウス」は、現在売却済の物件となっております。
このコラム欄の筆者
齋藤 裕 (昭和39年9月生まれ 静岡県出身)
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