思うところ63.「提言Ⅱ」 | 東京駅・茅場町・八丁堀の賃貸事務所・賃貸オフィスのことならオフィスランディック株式会社

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  • 思うところ63.「提言Ⅱ」




    前回のコラム№62「提言」に続き、区分マンションの管理規約に関する提言がある。願わくば、本コラムをお読み頂く前に、コラム№41「外国人」コラム№55「憂い」をお読み頂きたい。拙文ながら、「海外投資家」「共有持分の細分化」「相続登記の未了」についての所見を述べてある。

    私は、区分マンションの所有者の過半が非居住者(賃貸化)と想定される商品企画の場合、新築分譲当初から「投資用マンション」と位置付けて所有者自らが住まう「(自己)居住用マンション」と管理運営のあり方を別にした方が良いと考えている。

    自らが住まう区分所有者が多いマンションには、誰かしら管理運営に前向き・積極的な人がいて、建物管理会社の補佐が適切でさえあれば、大過無く健全に運営される傾向があるように思う。住戸を保有し、かつ居住する管理組合員は、自ずと資産価値の維持・向上に努め、コミュニティの住環境を守ろうとする。だから、コミュニティの独立自治を尊重すれば良いのである。

    ところが、私の言うところの「投資用マンション」においては、インカムゲイン(要するに「賃料」)・キャピタルゲイン(要するに「売却益」)・節税対策等、「住まうこと以外」を目的として保有するのであるから、「共益費の値上げ」や「大規模修繕工事の一時負担金」等、区分所有者に金銭的負担が伴う審議事項に関心があっても、マンション内の「風紀の乱れ」や「使用細則の遵守」について無頓着となり易い。投資用マンションを多数保有する富裕層は全物件に「目が届かない」から尚更のことであり、総会への出席も困難である。

    そんな事情もあっての「提言」である。「投資用マンション」の管理規約に「代理人選任」と「代表者選任」の届出義務を課すのはどうだろうか。分譲済の区分所有マンション管理規約を変更するとしたら、次の様な条項をイメージしている。

    管理規約第XX条 追加条項(海外居住者の代理人選任義務)
    海外居住者が、区分所有者となる場合は、日本語で意思疎通可能な日本国内在住の代理人を選出して管理組合に届出なければならない。尚、本届出は当該住戸の所有権移転の日を起算日としてXX日以内に所定の書面をもって管理者に届出るものとする。また、区分所有者が海外に転出する場合は、海外に転出する日の前日までに同様の届出を行うものとする。

    管理規約第XX条 追加条項(複数人が所有するときの代表者選任義務)
    一住戸につき、区分所有者が複数人となるときは、当該住戸につき、議決権を行使する代表者を選任し、所定の書面をもって管理者に届出をしなければならない。尚、管理者は、管理組合の総会招集通知、議事録等の郵送等、代表者のみになせば足りるものとする。

    ようやく「相続登記の義務化」の法改正につき、その動きが活発化してきたように思う。併せて「海外居住者の所有のあり方」や「過剰な細分化(区分所有の共有持分売買)」についても審議した方が良い。ついでに物申すなら、管理組合役員も専門家に外部委託できる仕組み作りが必要だと感じている。

    将来起こるかもしれない紛争を未然に防ぐこと、それこそが「ファインプレー」である。


このコラム欄の筆者

齋藤 裕 (昭和39年9月生まれ 静岡県出身)

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