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  • 思うところ64.「駐車場」




    当社の営業拠点があり、取扱い注力エリア「中央区(東京都)」は、隅田川以西の用途地域の殆どが商業地域である。簡単に言うと「浜離宮(第一種住居地域)」と「明石町(第二種住居地域)」を除いて「全て」が商業地域(全国的にも稀な都市計画)なのである。その商業地域の多くが「駐車場整備地区」に指定されており、建物規模に応じて附置義務を課さねばならない程に駐車場が必要とされている。

    にも拘らず、分譲マンションの一部に有効活用されない駐車区画があるのは何故だろう。駐車場が「不足」しているはずの当エリアの駐車場が「余剰」する現象につき、私なりにその原因を整理してみた。

    原因①中央区は交通利便性がとても良好である。車など持たずとも路線図を理解していれば、何処に行くにも不便は無い。どうしても車が必要な時だけ「レンタカー」を一時利用しても良いだろうし、「カーシェアリング」も普及してきている。要するに「車保有者の減少
    原因②平均年収の統計(23区で住民の平均年齢が42.2才と一番若いにも拘らず、平均年収は第4位)が示す通り、中央区に住まう人々の多くが富裕層であり、高級大型車やハイルーフ車等、保有したいと思う車の車幅・車高がマンションに附置された駐車区画の入庫可能寸法に適合しない。要するに「商品企画のミスマッチ」
    原因③利用しない駐車区画があったとしても、外部に貸し出すことは、入居者以外の敷地への出入りを認めることになるので抵抗感がある。また、収益目的となると消費税が発生する。要するに「管理面の問題」

    その他にも、「昼人口(激増)・夜人口(激減)の格差」や「高額の駐車場利用料」等、利用されない駐車場が発生する原因は多々あると思うが、駐車場の附置について見直しをすべき点もあれこれ思案してみた。

    見直し①附置率ばかりを重視した行政指導を修正のうえ、分譲会社も顧客ニーズをもっと把握すべきである。将来を見越して考えれば、「大は小を兼ねる」ことに異論はないだろう。長期的な視野をもってする商品企画を市場は評価しなければならない。不動産・建設業界と自動車産業界の情報交換も必要不可欠であると思う。
    見直し②「駐車場整備地区」においては、駐車場利用料に賦課される消費税を免除できないものだろうか。マンション管理組合も外部に貸し易くなるし、タワーパーキングやコインパーキング等、駐車場の民間開発も促進されることになるだろう。商業の発展(街の活性化)に繋がるのであれば、他の税収UPに補完されて国益にもなるから容認可能な「不公平税制」であって、「公共の福祉を優先」したと考えれば良いのではないか。
    見直し③路肩の駐車枠をもう少し増やせる余地があるのではないか。違法駐車が横行するくらいなら可能な限り有料の駐車スペースを増やした方が良い。円滑な物流システム構築の一助にもなるし、観光都市としての機能も充実する。

    先日、車を2台所有する顧客のベイエリアのタワーマンション見学(5物件)に同行した。保有する車の1台は、「トヨタ アルファード(全長4,950mm/全幅1,850mm/全高1,950mm)」、もう一台は、「シボレー・コルベット(全長4,630mm/全幅1,934mm/全高1,234mm)」である。お察しのことと思うが、アルファードは「車高」が、コルベットは「車幅」がネックとなり、敷地内に必要とする駐車区画を確保できるマンションは皆無であった。せめて、どちらか1台でも敷地内に収容できれば良かったのだが・・・。

    余談であるが、以前利用していた当社至近の機械式駐車場(1974年築のビル内)は、社用車(プリウス)の乗降が運転席からできない入庫寸法であり、軽業師のごとく助手席から乗り降りせざるを得なかった。

    建築主となる皆様方、どうか建物に「長期的視野」と「愛情」を持って頂きたい。


このコラム欄の筆者

齋藤 裕 (昭和39年9月生まれ 静岡県出身)

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