思うところ68.「詰まり」 | 東京駅・茅場町・八丁堀の賃貸事務所・賃貸オフィスのことならオフィスランディック株式会社

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  • 思うところ68.「詰まり」




    不動産管理業務に携わっていると汚水トラブル(詰まり)に遭遇すること度々である。本コラムは、所謂「糞尿」に関しての「思うところ」だから、この後食事を控えた想像力逞しい人は読まぬ方が良いと思う。ツマリ、糞(クソ)「詰まらない」が、糞(クソ)の「詰まってしまった」話である。(下品な「駄洒落」にお許しを乞う。)

    老婆心ながら、ビルオーナー並びにご同業の皆様にご忠告申し上げる。トイレにそのまま「流せる」という掃除用(厚手の)紙製シート、その優れた水解性は認めるが、老朽化したビルの汚水管においては、必ずしも「流れる」とは限らないとの認識をお持ち頂きたい。老朽化したビルの鉄管は、管内表層(特に継ぎ目部分)の腐蝕・劣化によって摩擦力が増しており、それら「流れる」はずの紙が「詰まり」の原因になり易いのである。昭和築で更新工事未了の古ビルならば、重要事項説明書の注意事項欄にその類の紙一切を使用禁止とする旨を明記することをお勧めする。「ティッシュペーパー(通常タイプ)」も同様であり、知識不足から「流せる」と思っている入居者(社員)も多く、使用頻度が家庭用の比でないオフィスのトイレは要注意なのである。

    「詰まり」の原因を究明すべく管内検査カメラを挿入することもあるが、犯人探しなどしても意味が無い。まさに「水掛け論」である。どんな紳士・淑女に見えようとも、個室内の悪行など誰にも分らぬものである。(God<カミのみぞ>Knows!)「当社(社員)は絶対にそんなことはしない。」などという不毛な議論はさておき、「トイレットペーパー以外の紙使用禁止(とその理由)」を朝礼でアナウンスした方が賢明である。

    ところで、「トイレが詰まった。すぐに来い!」という上から目線の苦情は如何なものだろうか。「詰まり」の程度にもよるが、まずは、市販のラーバーカップ(=排水用吸引器具、通称「パッコン」等)で自助努力するのが筋というものだろう。(入居時にそれを贈呈しておくと良いかもしれない。)それでも解決しない時にこそ有償の専門業者を呼ぶか否かの相談をすべきと思う。我々が目視調査したところで事態は何ら解決しないのである。(それとも我々に配管清掃を期待しているのだろうか・・・。)緊急性をアピールするあまり、氾濫したその悍ましき「物体」の写真データを送りつけてきた人もいたが、これには良識を疑わざるを得なかった。私の「多能工であるべし」の話と別次元の問題である。当社スタッフは、断じて汚物処理班ではない。それこそ配管清掃の専門知識があり、道具(高圧洗浄機・専用ワイヤー等)を常備する専門業者に「分業」すべきことである。

    コラム№47では、驚愕の汚水処理槽の不具合の原因について取り上げた。また、区分マンションでトイレが詰まって専門業者を呼んだところ、金属(銅)製タワシが出てきたことがある。(費用負担を拒んで「最初から詰まっていた!」の一点張りであったが、本当に最初からそんなものが詰まっていたとしたら、入居当初から汚物は流れない。)ある時は、地下ピットの湧水ポンプが故障して汚水槽の漏電ブレーカーが作動、汚水ポンプの機能停止により地下飲食店(お洒落なBAR)のトイレが詰まったこともある。(年の瀬、深夜2時の悲惨な出来事であった。)この手のトラブルは紙面が足らぬ程枚挙に遑ない。ある日、幹線道路沿いのマンション敷地内の埋設(下水)管が詰まった。40年超の長きに渡る交通振動がついにコンクリート製の埋設管に亀裂を入れてしまったのだ。土砂が流入したことによる「詰まり」との調査結果だった。(1階は飲食店舗であったから、ちょっとしたパニック状態)

    業界人として切に思う。もっと配管のメンテナンス・更新工事がし易い設計を考案して欲しい。少なくとも、腐蝕・劣化しない新素材の配管の開発はできるだろう。継ぎ目無しの工法の発案にも期待したい。

    昭和40年築の建物を「人」に喩えるなら、還暦を意識し始めるお年頃である。そう言えば、私(55才)と同世代の友人が動脈硬化を心配してカテーテル手術を受けた。現代医学においては、然程難しくない手術らしい。建物にもそんな施術(配管更新工事)ができないものだろうか、そんなことを思った。


このコラム欄の筆者

齋藤 裕 (昭和39年9月生まれ 静岡県出身)

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