思うところ89.「整合性」 | 東京駅・茅場町・八丁堀の賃貸事務所・賃貸オフィスのことならオフィスランディック株式会社

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  • 思うところ89.「整合性」





    <2020.12.1記>
    「やる」と言って「やらない」人も良くないが、「できません!」と断言しておきながら、舌の根も乾かぬうちに「できました!」と誇らしげに報告する人も同等に良くないと思う。私にとっては、「やらない」と言っておきながら「やっておきました!」という言動も称賛するに値しないとさえ考えている。いずれも言葉に「整合性」が無く、仕事上は「弊害」と「無駄」を生むからである。そうは言っても、常に「五分五分です。(分らない)」と濁されても困るのだが・・・。

    不動産取引において言葉・約束の「整合性」は、「信用・信頼」を得る為の基礎的重要ファクターである。例えば、「すぐに買い手が見つかるでしょう!」などと売主を糠喜びさせておきながら、その結果(早期好条件の成約)が伴わないとしたら、単なる「軽口」だったことになってしまう。逆に「この売出価格では難しいです・・・。」と消極的・悲観的な分析により売主を暗澹たる気持ちに陥れておきながら、売り出すや否や「満額で決まりました!」と鼻息荒く購入申込書を持参されても何処か喜べないものを感じると思う。(もっと上値を追求できたのでは?との疑心暗鬼になってしまうだろう。)そうかと言って「整合性」を追求されることを恐れるあまり、「やってみなければ分りません。」などと言う「逃げ」一辺倒の回答ばかりでは頼り甲斐が無い(自信が無い証拠)というものだ。

    勿論、お客様側にも「整合性」が求められる。賃貸借契約における解約予告が典型的な事例だろう。「○月○日迄に退去する」と書面(解約予告通知)をもって約しておきながら、「やっぱり、あと1ヶ月」を二度三度繰り返されると、次のテナント(入居予定者)と「玉突き事故」になってしまう。その他の例も挙げるなら、売買にせよ、賃貸にせよ、買う(借りる)と正式に意思表示しておいて、契約直前になって唐突に「やっぱり、買わない(借りない)」と所謂「ドタキャン(土壇場キャンセル)」される場合が該当すると思う。そんな時、仲介人がどんな弁明をしても「言い訳」にしか聞こえないから、売主(貸主)に対する仲介人の立つ瀬は無い。(それどころか売主・貸主との信頼関係が損なわれて仕事を失いかねない。)逆もまた然り。契約直前で売主(貸主)から恣意的に「やっぱり売らない(貸さない)」と翻意されれば、買主(借主)の仲介人に対する信用は失墜してしまう。

    前述の解約予告の「玉突き事故」の被害者にとっては、引越予定日に入居できないことは「想定外」の事態である。だが、その被害者が転出するはずの賃貸物件への転入予定者にとっては、その被害者は加害者である。引越業者も突然の延期に人員配置計画が狂う。法人(事務所)の移転なら取引先にも移転計画変更の連絡をしなければならないだろう。騒動の発端は些細な「不整合(原因:我儘・翻意・怠慢・錯誤・失念等)」であっても、無限に負の連鎖を引き起こしかねないのである。だから、冒頭で「弊害」と「無駄」を生むと申し上げた。

    不動産取引には「想定外」の事態が多々発生することも否定できない。よって、適切なタイミングで誠実に「修正」することも肝要である。何ら説明(釈明)の無いまま約束が果たされないとしたら、お客様の不信感は募るし、信頼していたことの反動で怒りが爆発する。そうならぬよう、不測の事態が発生したならば、正直に理由(原因)を詳らかにして謝罪し、的確に修正案・打開策を提示すべきだと思う。近年は想定外の事ばかりである。天災地変については、コラム№59「天災」コラム№76「止水」コラム№77「VIRUS」をお読み頂きたい。

    「整合性」の対義語の代表格は「矛盾」である。是非、初回コラム№1「矛盾」もお読み頂きたい。願わくは、「修正力」についてはコラム№69「EQ」も。の言わんとすることは首尾一貫しており、その「整合性」を再認識して頂けるものと思う。


このコラム欄の筆者

齋藤 裕 (昭和39年9月生まれ 静岡県出身)

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