思うところ93.「戸建」 | 東京駅・茅場町・八丁堀の賃貸事務所・賃貸オフィスのことならオフィスランディック株式会社

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  • 思うところ93.「戸建」





    <2021.2.1記>
    当社の営業エリア都市計画は、商業地域・防火地域が多く戸建用地の流動性が極端に低い。(売買が成立する取引対象は、「ビル用地」、「店舗用地」等、商業系の事業用地が大半)仮に手頃な土地があったとしても、耐火構造で建てねばならないから高額な建築費を覚悟する必要がある。新築なら狭小住宅でも億を超えてしまうのである。そのような事情で木造住宅の継続的な供給が難しいエリアであることをコラム№58(コンパクト)でも述べてある。よって、当社が新築一棟売りに「ランディア+地名」の建物名を冠して着実に販売してきた実績があることを意外に思う方が多いと思う。

    古くは、月島駅前の賃貸併用住宅「ランディア月島」がある。防火地域が大半の中央区内において、新築木造建物の販売を手掛ける同業者は今以て尚皆無といっても過言でないが、不動産価格の低迷期にあった当時、道路付の弱さと連棟式の問題点を抱えた築年不詳の長屋を割安に仕入れることができた為、隣戸と分離して更地にする難工事を施し、「容積率の緩和措置」と「耐火ツーバイフォー工法」を用いて新築木造住宅の供給に挑んだのである。下階を収益物件としてのコンパクトタイプ、上階をオーナー用のメゾネットタイプに差別化して仕上げた。総床面積の過半を居住用とし、完済時80歳未満となる要件を満たして長期(35年)低利住宅融資の調達が可能な方なら、頭金0円でも月額返済の全額を下階の家賃収入で賄うことができる画期的な商品企画であった。(コラム№29「賃貸併用住宅」参照)残念ながら、その意図を理解して貰う為の伝達手段(テーマを賃貸併用住宅の融資利用方法に絞った「セミナーの開催」が望ましい。但し、単独プロジェクトでの開催費用は過大)が乏しく、結果としては、投資家に単なる「共同住宅」としてご購入頂くことになった。だが、買主の目的がどうであれプロジェクトは大成功だった。

    これに続いて日本橋浜町で借地(旧法)を仕入れ、類似の賃貸併用住宅を企画したのが「ランディア日本橋浜町」である。これも「賃貸併用住宅」としてではなく、投資家に収益用の「共同住宅」としてご購入頂くことになった。土地の権利が借地権なので割安・高利回りの投資用不動産として供給することができたのである。また、償却資産(木造:法定耐用年数22年)としてのメリットも販売を促進するところとなった。借地権特有(借地権は「債権」、所有権は「物権」、支配力が違うから評価が大きく異なる。尚、土地に「償却」の概念は無い。)の建物比率と非堅固な建物なればこその節税効果を十分にご理解頂けた訳である。有り難くも、竣工と同時に当社が賃貸管理を請け負って現在に至る。(ほぼ100%稼働

    では、何故当社の「新築一棟売り」の販売実績が知られていないのか。第一の理由として、無用な「掛け値」を廃し、「正札」で販売することにより発売後短期間(竣工迄)で成約となることが多く、最小限の広告活動で事足りてしまうからである。最小限の販売経費で済むからこそ「適正価格」で売り出すことができ、「Win- Win」の好循環を生むのである。第二の理由として、個人向け新築戸建(事例:「ランディア駒込」、「ランディア千川」等)は、引渡し完了とともに商品名は不要となるし、収益物件は、賃貸募集前に買主が決まる場合、新オーナーに建物の命名をお願いしているからである。当社は、「命名権」もサービスの一環と考えている。竣工迄に売れ残ったことがないから、分譲マンション名と違って「ランディア」の名は住宅地図に残らない。第三の理由として、図らずも商品企画の段階で「売地」として売れてしまうことが度々あったからである。「ランディア妙蓮寺(4区画)」「ランディア平井駅前(2区画)」「ランディア平井四丁目(2区画)」「ランディア日本橋蛎殻町(店舗付住宅)」「ランディア宮代台」などが典型的な事例だったと思う。従前の建物の解体工事中や宅地造成工事中に近隣にお住まいの方からの要望があって土地のみで売却、建売住宅としての商品化を断念した。安価で良質な建売住宅は、住宅融資が利用し易いこともあって人気が高いことは事実であるが、割高になったとしても独創的な「マイホーム」の設計・設備・仕様を思い描く方や、駅前立地を有効活用して自社ビル・店舗を建てたい方、単に近接地だから(子供の為に)買い増ししておきたい方等、まさに「十人十色」の事情があった。「売地」となったのは、その要望に対して柔軟にお応えした結果であって、所謂「土地転がし」などという安直な考えは無い。付加価値を創出してこその不動産事業だと思っている。

    そして今、「(仮)ランディア門前仲町」を企画中である。現在の建物(賃貸中)は、大正時代の築で限界が近く、千葉県に深い爪痕を残した令和元年の台風15号の惨事を目の当たりにして建替えを決意した。貸主からの建物賃貸借契約の解約予告は心苦しいが、近隣住民への迷惑を未然に防ぎたいとの思いもある。土地は、約16坪と狭小の借地権(旧法)ながら、道路付の良い(約11m公道)整形の商業地(容積率400%)なので店舗付住宅か、共同住宅の類いが良いと思っている。堅固な建物とするか、非堅固な建物とするかは迷うところだ。地主(底地権者)から提示される建替承諾料次第だろう。当社の商品企画力に乞うご期待と言ったところである。


このコラム欄の筆者

齋藤 裕 (昭和39年9月生まれ 静岡県出身)

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