思うところ106.「再開発」 | 東京駅・茅場町・八丁堀の賃貸事務所・賃貸オフィスのことならオフィスランディック株式会社

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  • 思うところ106.「再開発」




    <2021.8.16記>
    不動産のスケールメリット創出の最たるものは「再開発」だと思う。今回のコラムは、前々回のコラム№104「細分化」と対照的なテーマになるが、不動産は「細分化」とは真逆の「集約・統合」の方がより高度な付加価値が生み出される傾向があることを述べたい。

    「法定再開発」による「街づくり」の意義は大きい。例えば、中央区「勝どきエリア」であるが、街は目覚ましい発展を遂げている。かつての「勝どき」は「月島」の生活圏の一部であって今の駅は無く、平成の始め頃までは「物流拠点」のイメージが強かった。人口急増に伴う「勝どき」駅の過剰な利用者数は多少気になるところであるが更なる再開発計画の中で改善されていくだろう。先行して再開発が進んだ江東区「豊洲エリア」も同様である。昭和の終わり頃の豊洲駅前の殺風景な街並みを知る私の目には「別次元の快適な都市空間」に映る。これからは、「八重洲(東京駅南側エリア)」や「日本橋兜町(東京証券取引所周辺)」といったオフィス街の再開発も注目されると思う。

    湾岸エリアの大規模タワーマンション、所謂「タワマン」の殆どが「総合設計制度」を利用することにより容積率の緩和措置を受けている。建築基準法を超越した特例的な緩和措置は差詰め公開空地を提供したことに対する民間ディベロッパーへの「ご褒美」といったところだろうか。都心部の人口減による空洞化を防ぎ、防災面でも大いに社会貢献している。行政と民間企業で「Win-Win」の関係を築くことができる模範的開発と言えるだろう。

    区分マンションの管理面も「集約・統合」を考えなければならない時代になったと思う。小規模分譲ゆえに財務的に苦しむ区分マンション管理組合の救済措置として、隣接する区分マンションとで「一団地」に準ずる地位を創設できないものだろうか。(準)一団地認定により管理組合を統合することで管理運営の効率化を図ることができるはずである。建物管理会社も清掃会社も一社に集約して業務委託すれば、経費削減効果の期待大である。また、次世代の所有者が建替時期を迎えた時、一致団結してより良い建物計画が立案できると思うのだ。特に大通りに面する区分マンションと細街路に面する区分マンションの管理組合の統合が実現するのなら、未消化の容積率を有効活用できることになるだろう。

    限界」が近づいた区分マンションには、「白騎士」の出現が望ましい。ここで言う「白騎士」とは、証券業界がM&A(企業の買収・合併)の際に使う用語「ホワイトナイト」に該当する。正義の味方「白馬の騎士」になぞらえて「資金力があって友好的に買収してくれる法人・個人」と考えれば良い。私の思い描く「白騎士制度」は、①法定耐用年数(RC造なら築47年)を経過した時点(以降)で、②区分所有マンション総戸数の1割以上を所有する法人・個人を「白騎士」の有資格者(総戸数50戸なら同一人名義にて5戸以上所有する者)として、③管理組合に「白騎士」を宣言(届出)、④他の区分所有者が所有物件を売却しようとする時に一早く「白騎士」に売却情報が伝達される、そう言った「仕組み作り」のことである。限界マンションについては、大規模修繕の実施や建替の是非を協議するにあたり、不動産に関して見識のある少数の「白騎士」同士で話し合った方が良いと思うのである。なぜなら、現行法では良くも悪しくも「個」の権利が強過ぎるからだ。個々に事情の異なる大人数で利己的主義主張をぶつけ合う限り、英断を以て為すべき管理運営方針の是正はできないだろう。衆愚政治に陥ってはならない、時に「痛みを伴う改革」が必要と言うことを申し上げている。

    その他にも不動産で「集約・統合」すべきことは沢山ある。会社組織が「統廃合」を繰り返して成長するのと同じことだ。「私有財産の制限」や「地上げ」の話と混同しないで欲しい。悪気のない率直な「思うところ」である。相変わらずの勝手気ままな「放言」であることは認めるが決して「戯れ言」ではない。

     


このコラム欄の筆者

齋藤 裕 (昭和39年9月生まれ 静岡県出身)

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