思うところ179.「築60年・齢(よわい)60年」 | 東京駅・茅場町・八丁堀の賃貸事務所・賃貸オフィスのことならオフィスランディック株式会社

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  • 思うところ179.「築60年・齢(よわい)60年」




    <2024.9.12記>
    日本にとっての昭和39年(1964年)と言えば東京オリンピック開催と東海道新幹線開通のおめでたい年、不動産業界にとっては宅建業法改正により事業が届出制から免許制に移行された節目の年でもある。その昭和39年生まれの私はもうすぐ(今月内)還暦を迎える。不謹慎な物言いだが自分のことだから許されるだろう、建物に喩えれば築60年ということだ。現在の堅固な建物(RC造)の法定耐用年数(税務上用いられる指数)は47年であるが1998年の改正前の法定耐用年数は60年であった。本年初回のコラムでも述べたが適切な維持管理さえ施せば建物寿命(物理的耐用年数)は80年程度まで延ばすことが可能、今時の建物なら100年超の延命も夢ではない。我々もまた人生100年時代を迎えようとしており、次世代は健康寿命100年時代を目指すことだろう。

    「100年コンクリート」をご存じだろうか。一般的なコンクリート造の設計基準強度が24Nmm²なのに対して100年コンクリートは30N/mm²という高強度である。30N/mm²は1cm²の面積で約300kgの負荷(重さ)に耐えられるということ。これは水セメントの量を50%以下の高品質としたもので日本建築学会の発表によれば、「構造体の大規模な修繕をしなくても100年は保つ」と予想される。粗悪なコンクリート程に水で薄められたものであり、流し込み易い(≒施工し易い)反面、強度は落ちる。1970年代に2度(昭和45年の第四次中東戦争、昭和53年のイラン革命の時)発生した悪性のインフレ、即ちオイルショック(石油危機)で資材が急騰した際に工事請負業者が倒産を回避する為に下した苦渋の決断だったとはいえ、海砂で造られたコンクリートの劣化も問題になっている。それは塩害で鋼材の腐食が早まったからである。人も塩分の多い食事ばかり摂っていると高血圧になって動脈硬化が進み寿命が縮まる。幸いにも我社の定期健康診断の結果によれば私の血圧は105-65(最高血圧-最低血圧)程度で安定しており、過去一度たりとも異常値を示した診断結果は無い。また、昨年11月に一念発起して自らに毎日乗ることを課している我が家の体重計(体組成計)のデータによれば私の体水分率は常に59%前後で標準値内である。

    建物の屋上緑化は人間で言うところの頭皮・頭髪に該当するだろうか。建物の屋上緑化は異常気象の影響もあってか竣工後の維持は頓挫してしまうケースが多く、政策的に義務付けられた屋上緑化であっても植栽が枯れたままの建物が散見される。また、枯れないまでも隅田川沿いにはウミネコの繁殖地と化してしまい企画倒れとなったマンションの屋上庭園もある。近隣住民は糞害と鳴き声の騒音に悩まされるも鳥獣保護管理法の保護下にある為、住民は勝手に駆除できない。(東京都は令和4年4月に「鳥獣保護管理事業計画」を改定、ようやく繁殖期に限って許可された業者なら卵と雛の駆除はできるようになった。)私の頭髪はやや細くなった気がするが今のところ大丈夫だ。(まだ禿げてはいない。)白髪にならないことは遺伝的なものだろうが大して嬉しく思ってはいない。実は禿げることに怯えながらもロマンスグレーには少々憧れている。それは若かりし頃、大型案件を纏める度に枕詞のように「お若いのに」が付されたせいで、素直に喜ぶべきお褒めの言葉ながら、その裏側に見え隠れする分不相応の意を感じ取ってしまい、むしろ苦痛に感じていたことへの反動である気がする。それとも「白眉」の中国故事の影響か?(故事成語「白眉」=特に優れた人のこと)否、理屈抜きに子供の頃、「早く大人になりたい!」と思った人は多いのではないだろうか。それに似た子供染みた心境である。

    血管の老化が建物で言うところの上水管の詰まりだとすれば、腸内環境の悪化は下水管の詰まりに該当すると思う。コラム№17(安心感)でも述べたが私には食べ物の好き嫌いは無く何でも快食、それでいて便秘知らずの快便、要するに極めて快食快便であり、加えて快眠の日々を送っている。管の汚れが血中脂質だとすれば、私の直近の血液検査ではLDL(悪玉コレステロール)は90、HDL(善玉コレステロール)は63、中性脂肪は75である。医学とは無縁の私には理想の数値がどうあるべきか分からないが血糖値92も含めて健康診断書の検査項目の該当欄には異常値に付される*印は見当たらない。

    時に鈍感力(コラム№166参照)も必要であると思う。流石に年相応に顔のほうれい線(=中国の面相学の法令紋、当て字:豊麗線・豊齢線)が深くなった気がするが多少嫌なことがあっても眉間に皺が寄ることは無い。(と勝手に思っている。)顔の皺などモルタル仕上げの床面のヘアクラック程度(幅0.3mm以下、深さ4mm以下の髪の毛程に微細なひび割れ)の些細なものと割り切りたい。その昔、中古マンションの購入者が和室の畳を交換する際に畳下の床スラブの表層(モルタル仕上げ)にそれを発見して「隠れたる瑕疵だ!」と売主を執拗に非難した人がいた。それは躯体そのものに生じた構造クラック(構造体に発生する幅0.3mm以上、深さ5mm以上のひび・亀裂)と異なり、人で言うところの厚化粧の役割に過ぎない施工箇所だから目くじらを立てる必要など無いものだ。因みにマンションの新築現場では建築中の現場を見て「鉄骨が錆びている!」と大騒ぎした人もいた。どちらもが建築に関しての無知から生じた悪気の無いクレームであった為、根気良く丁寧に説明することで誤解を解くことができた。

    さて、私の身長は約168cm、日本人男性の平均身長は約171.5cmだから小柄ながらも建物に喩えれば辛うじて中層建物の部類に入るだろうか。今朝も我が家の体重計(身長・性別・年齢を入力済)に乗ってみたところ体重は63kg、BMI(=Body Mass Indexの略、体格指数)の計算式は体重(kg)÷{身長(m)の2乗}だから本日のBMIは22.5と表示された。その数値はWHO(世界保健機関)基準でも標準体重、日本肥満学会の基準でも普通体重に該当する。そして体脂肪率16.4%・筋肉量50kg・推定骨量2.8kg・内臓脂肪10.5レベル・基礎代謝1424㎉・体水分率59.1%、と自動分析された結果、実年齢60歳(あと数日59歳)に対して体内年齢は本日も44歳の表示!「頑張ってるな、でも気を付けろよ」と何だか体重計に励まされたような気がした。

     


このコラム欄の筆者

齋藤 裕 (昭和39年9月生まれ 静岡県出身)

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