<2025.4.1記>
本日は4月1日でエイプリルフール、直訳すると「四月馬鹿」、日本でも他国同様に「嘘をついても良い日」という仕掛人のセンス次第で騙された方も笑えるユニークな風習として根付いている。だが、ちょっとした悪ふざけがSNSで拡散されてその情報があたかも事実であるかのように一人歩き、時として誰も笑えぬ大事になりかねないご時世である。いっそのこと、「4(ヨ)・1(イ)」の語呂合わせで単に「良い日」、又は少し洒落て「良い旅立ちの日」に改め、入学や入社、新年度入りを祝う記念日とする方が4月1日を何かと節目や起算日とする日本の文化には馴染むのではないだろうか。
勿論、不動産業界に嘘を言って良い日などあろうはずもない。鹿を馬と言い張って非を認めない馬鹿者も困るが羊頭狗肉の商売をする知能犯も困る。4月1日の入社式で「不動産業は『夢』を売る仕事」などと聞こえの良い美辞麗句を並べて祝辞とする経営者もいるようだが範を示すべき者が馬鹿を言って貰ってはもっと困る。我々は「夢」や「幻」を売っているのではない。現(うつつ)の不動産を売買・賃貸・管理・修繕しているのである。コラム№99(甘言)でもそう書いた。
随分昔の話になるが私の会社員時代に中途採用で配属されたばかりの部下が長方形の間取図を正方形に見せて(縦横の比率を恣意的に変更して)販売図面を作成していることに気が付いた。私は当然の責務としてそれを厳重注意したところ、「そんな(細長い)間取図では集客できません!」と所謂「逆ギレ」されて驚きのあまり唖然としてしまった。驚くと同時に「他社ではそんな社員教育がまかり通っているのか?」と疑問に思った。
我々(不動産会社)は断じて「千三つや(嘘つき)」であってはならない。不動産広告の基礎的な留意点のごく一部をコラム№95(幻の物件)、コラム№99(甘言)、コラム№148(駅徒歩1分)や№149(畳)で紹介してある。面白味に欠ける拙文ではあることは否定しないが今一度お読み頂けると幸いである。但し、コラム№166で述べた「鈍感力」はくれぐれも曲解することの無いようお願いしたい。「鈍感力」という表現を以て「大らかさ」の必要性を説いたにも拘らず、悪意のある誰かが四月馬鹿に乗じて「出鱈目」を礼賛するかの偽りの記事に改竄して拡散でもしたなら、それこそ書いた私の立つ瀬は無くなる。
「嘘つき」どころの話ではないが住居系の賃貸物件を取り扱う悪徳不動産会社と手を組む「アリバイ屋(在籍屋)」と称される怪しげな業者がいることはご存じだろうか。無職(無収入)の人がある会社に在籍、又は就職が内定しているかのように装って入居審査を掻い潜るのである。アリバイ屋はその成功報酬を生業とする輩達である。入居審査に難のある人が悪徳不動産会社の提案と差配によりアリバイ工作の請負人と手を組んで本来は承認されないはずの入居審査を通してしまうわけである。それは家主と家賃保証会社を欺くことに他ならず、手口の悪質さの程度によって刑法第159条(私文書偽造罪)、あるいは刑法第161条(偽造私文書等行使・電磁的記録不正作出及び併用)等が適用されるのではないかと思う。
残念ながら、売買取引でもアリバイ屋ともたれ合う悪徳不動産会社もある。度を超えた悪質な事案は刑法第246条(詐欺)の罪(又は前述の刑法との併合罪)に問われるのはないかと思う。こちらも必要書類を偽造して購入資金の融資審査を掻い潜るのである。本来は購入不可能な人(支払能力不足の人、ブラックリスト入りしている人等)が分不相応に高額な不動産を取得すれば自ずと事故率は高くなる。もし、不動産会社の代表者や役員がその違法行為に直接関与して禁固以上の刑に処されたら宅建業法第66条の定めによりその会社の宅建免許は取り消される。また、刑の執行を終えた日、又は刑の執行を受けることのなくなった日から5年を経過しなければ免許を再取得できない程の重い罪である。
紙面の都合上、悪(嘘)の羅列はこの辺で切り上げるとして本コラムの総括を申し上げる。私の思うところは唯一点、「嘘をついてまで利益を追究してはならない」ということ。財閥住友家の家法・家訓の中には「浮利を追わず」とある。大妻女子大学の校訓には「恥を知れ」とある。会津藩士の子供達が毎日唱和したという「什の掟」の一つには「虚言(うそ)をいふ事はなりませぬ。」とある。理由は説明するまでもない。「ならぬことはならぬもの」だからである。
このコラム欄の筆者
齋藤 裕 (昭和39年9月生まれ 静岡県出身)
オフィスランディックは中央区を中心とした住居・事務所・店舗の賃貸仲介をはじめ、管理、売買、リノベーションなど幅広く不動産サービスを提供しております。
茅場町・八丁堀の貸事務所・オフィス, 中央区の売買物件検索コラムカテゴリ